レーザービームの王子様

「……ん?」



カチ、とドライヤーのスイッチを切ったところで、ローテーブルのスマホが着信を知らせていることに気がついた。

ベッドに腰かけたまま手を伸ばしてスマホを持ち上げた私は、画面に表示された名前を確認して心臓がはねる。


……うそ、久我さん?

電話かかって来たの、初めてだ。


いつもふたりでやり取りしてる、無料メッセージアプリからの着信。

少し迷った末、私は通話ボタンをタップした。



「……もしもし?」

《あ、すみれちゃん? よかった出てくれて》

「え……もしかしてその声、むっちゃん?」



電話に出てみてさらに驚く。どうして久我さんのスマホから、彼がかけてきたのだろう?



《うん、六実です。ごめんねこんな時間に》

「それは大丈夫だけど……」



言いながら壁掛け時計を確認すると、現在時刻は20時過ぎ。

というか、問題なのは時間じゃなくて。



《いやー実は今、お店に尚人くんが来てくれてるんだけどさぁ。すっかり潰れちゃってて動けそうにないんだよね。有名人いつまでも放置してるわけにもいかないし、誰かに迎えに来て欲しくて》

「え、」



思いがけない話に目をまるくする。

久我さん、【むつみ屋】にいるの? 名前呼びだなんて、どうやらふたりは随分親しくなったらしい。

それでまあ、そこまではわかる。お店はまだまだ忙しい時間だし、いくらプロ野球選手とはいえ店員たちも酔っ払いひとりにVIP待遇で構ってなんかいられないと。

……で、そこでなんで私?