今日、6月30日は、お兄ちゃんの命日。亡くなってから、ちょうど10年になる。
午後から会社を休んだのは、両親とともにお墓参りに行くためだ。それを終え、今は家族水入らず喫茶店でお茶をしていた。
「雨、やまないわねぇ」
お会計を済ませたお店から外に1歩踏み出し、お母さんが嘆息する。
自分の赤い傘を広げながら、私も同じように空を見上げた。
「まあ、梅雨だから。毎年だいたいこの日は雨だよね」
「そうだな。葬式の日もひどい雨だったし」
苦笑するお父さんも、真っ黒くて大きな傘を広げる。
そのさりげない言葉に、私はぼんやり雨を眺めて過去に思いを馳せた。
3歳年上のお兄ちゃんが亡くなった当時、私は中学3年生。お兄ちゃん自身は、高校3年生だった。
あの日も、朝から雨が降り続いていた日曜日で。午前中の部活を終えて1度自宅に帰って来たお兄ちゃんは「野球部のヤツの家に行って来る」と再び外出し、そして交通事故に遭ったのだ。
雨でタイヤが滑り、自転車のブレーキが効かなかったらしい。十字路で車にぶつかったお兄ちゃんは救急車で病院に運ばれたものの、治療の甲斐なく助かることはなかった。
唯一のきょうだいを亡くした悲しみはとても深くて、私の心にも大きな傷を残したけれど。
それでも世界は終わらないし、私の時間は動き続ける。お兄ちゃんとの思い出話を笑顔でできるくらいには、もう吹っ切ることはできている。
最後に会ったお兄ちゃんの歳をとっくに越えてしまった私は、彼にもう、情けない泣き顔なんて見せていられない。
午後から会社を休んだのは、両親とともにお墓参りに行くためだ。それを終え、今は家族水入らず喫茶店でお茶をしていた。
「雨、やまないわねぇ」
お会計を済ませたお店から外に1歩踏み出し、お母さんが嘆息する。
自分の赤い傘を広げながら、私も同じように空を見上げた。
「まあ、梅雨だから。毎年だいたいこの日は雨だよね」
「そうだな。葬式の日もひどい雨だったし」
苦笑するお父さんも、真っ黒くて大きな傘を広げる。
そのさりげない言葉に、私はぼんやり雨を眺めて過去に思いを馳せた。
3歳年上のお兄ちゃんが亡くなった当時、私は中学3年生。お兄ちゃん自身は、高校3年生だった。
あの日も、朝から雨が降り続いていた日曜日で。午前中の部活を終えて1度自宅に帰って来たお兄ちゃんは「野球部のヤツの家に行って来る」と再び外出し、そして交通事故に遭ったのだ。
雨でタイヤが滑り、自転車のブレーキが効かなかったらしい。十字路で車にぶつかったお兄ちゃんは救急車で病院に運ばれたものの、治療の甲斐なく助かることはなかった。
唯一のきょうだいを亡くした悲しみはとても深くて、私の心にも大きな傷を残したけれど。
それでも世界は終わらないし、私の時間は動き続ける。お兄ちゃんとの思い出話を笑顔でできるくらいには、もう吹っ切ることはできている。
最後に会ったお兄ちゃんの歳をとっくに越えてしまった私は、彼にもう、情けない泣き顔なんて見せていられない。



