レーザービームの王子様

思わず、こくりと唾を飲み込む。

そして声が震えてしまわないよう意識しながら、小さく答えた。



「深町……すみれ。今年で25になります」

「ああ、じゃあ2コ下か。俺は、東都ウィングスの久我 尚人です」



私と同じように改まって自分の名前を言う久我さんは、やっぱりどこか楽しそう。

……うわあ、やばい。この様子じゃ私のこと、プロ野球選手の権限を使っておもしろおかしく社会的に抹殺するつもりに違いない。果たしてプロ野球選手にそんな力があるかは知らないけど。

でもほら、いろいろツテとかありそうだし? 知事とか偉い人とも知り合う機会もあるだろうし? 社会的に地位がある人からすればしがないOLごとき簡単にどうにかできそうだし?


わざと不機嫌そうな雰囲気を醸し出して目線を逸らしつつも、内心冷や汗ダラダラだ。

……どうしよう。ここは先手を打って、きちんと謝罪すべき?

いや、でもそれはしたくない。さっき「失礼しました」って言ったばかりだし、……というかムカつくから権力なんかに負けたくない! 単純に!!



「で、すみれ。俺がここにあんたを呼んだのは、直接訊きたいことがあったからだ」



いきなり呼び捨てかい、というツッコミはこの際置いといて、訝しく視線を向ける。

久我さんはそれまで浮かべていた笑みを急に消し、真剣な表情でじっと私を見下ろして来た。