レーザービームの王子様

「なに? そんな熱い眼差しを向けられると、照れるんだけど」



まったく照れた素振りも見せずにそう言って、久我 尚人がにやりと笑う。

……見た目が良くても、この軽薄そうな中身は私的にアウトだわ。

思わず半眼で、正面から冷ややかな視線を向ける。



「安心してください。こんなに近くでプロ野球選手を見れる機会なんてめったにないので、ちょっと観察してただけです」

「ふぅん」



鼻を鳴らしながらも、薄く貼り付けた笑みは崩さない。

対する私はますます険しい顔になって、背が高い目の前の人物を睨むように見上げた。



「というか、なんで私はここに呼ばれたんですか? 久我さん、お忙しいでしょう?」

「は、『久我さん』って。あの居酒屋では俺のこと呼び捨てにしてたのに、今さら丁寧にしなくていいけど」

「……あのときは失礼しました。一応久我さん、私よりも年上なので」



バツが悪くなった私は、視線をずらしつつもボソボソ答える。

「へぇ」、とつぶやいた彼が、なぜか楽しげな様子で小さく首をかしげた。



「俺より下なんだ。そういえば、あんたの名前訊いてなかったな」



……これはつまり、自己紹介しろと?

悪口言ってたのを聞かれた時点で気まずくて関わりたくないのに、名前訊いてくるなんて……まさか、仕返しのため? もしかして私、社会的に抹殺される?