レーザービームの王子様

結局私が総司と別れたのは、それから2時間以上も経ってから。

ひとり暮らしのアパートに帰ってきたとき、すでに時刻は18時をまわっていた。

部屋に入ってまず窓を開け、室内にこもった生あたたかい空気を外へ逃がす。

といっても今の時期外も外でまだ気温が高いので、同時にエアコンの除湿モードをオンにした。



「ふー……」



細く息を吐き出しながら、羽織っていたカーディガンを脱いでタンクトップ1枚になる。

窓を閉めて冷蔵庫から缶チューハイを取り出した私は、そのままぼすんとソファーに沈んだ。


……よかった。総司と、本音の話ができて。

そのうえでこの先もずっと付き合っていけることになって、本当に、よかった。



『すみれ。おまえもちゃんと、久我に自分の気持ち伝えろよ』



ファミレスでの別れ際、総司は本気のトーンでそう言った。

それから、笑ってこうも。



『悔しいから言わなかったけど、おまえらお似合いだよ。だから俺、駅前ですみれと久我が一緒にいるところを見たとき、すげーあせったんだ』



総司の言葉は、うれしかった。

だけどやっぱり私は、自分に自信が持てない。久我さんが私にキスをした真意はわからないけど、なんとなく、彼は私との間にまだ見えない壁を作っているような気がしてならないのだ。

その壁は、私にこれ以上踏み込んで来るなということ?

……私たちは、住む世界が違うから?



『ま、いろいろ話したけど、まだうまくいくとは決まってないからな。振られたときは俺がやさしくなぐさめてやるからいつでも来いよ?』

『……余計なお世話だバカ』



かわいげのない私の悪態にもやっぱり総司は笑って、駅へ続く道を歩いて行った。

本当に、総司には頭が上がらない。