レーザービームの王子様

「今日の私の返事に総司が気を悪くして、絶縁宣言されるかもって覚悟してたから。そしたら私、絶対泣くもん。だからぐちゃぐちゃの泣き顔になってもせめて早く家に帰れるように、私のアパートに近いところにしたの」

「……俺が泣くとは考えなかったのかよ」

「物心ついてから、あんたが泣くとこなんて見たことないもん。ていうか、少なくとも私の前では泣かないくせに」



くちびるをとがらせてつぶやく。呆れたような顔をしていた総司は、ふっとそれを苦笑に変えた。



「すみれ、俺に絶縁宣言されたら泣くんだ?」

「泣くよ、そりゃ。あたりまえでしょ」

「ふーん」



笑いを噛み殺すような表情。テーブルに頬杖をついて、彼が私と目を合わせた。



「そんなのするわけないだろ。俺ら、“男”と“女”になりそこないの“きょうだい”じゃん」

「………」

「俺だって、おまえに絶縁宣言されたら泣くわ」



いい歳の男が、恥ずかしげもなく『泣く』宣言って。

大真面目に総司が言うから、思わず吹き出す。



「うん、そっか。……ごめんね、ありがと総司」

「おー。てかもうこれ以上は謝んのナシ」

「ん。……でもあの、ごめんついでにもうひとつ報告があるんだけど」



おそるおそる切り出せば、総司は不思議そうに目をまたたかせた。



「なに?」

「……私、散々誤魔化してたけど……やっぱり久我さんのこと、すきになりました」



言いきってから、伏せていた視線をちらりと上げてみる。

総司はコーヒーカップに手を添えたまま、唖然といった表情で一時停止していた。

数秒後、ひたいを片手でおさえるようにしてがっくりとうなだれる。



「おまえ……マジか……ていうかそれをわざわざ俺に言うのか……」

「だ、だって、否定しといて後から実は図星でしたって、フェアじゃないでしょ。だから、自覚した時点でちゃんと話すべきかなって」

「……つまり、すみれは自分の気持ちに気付いたばかりなんだ?」



呆れ顔のセリフに、こくりとうなずいた。

私の反応を見て、総司がつまらなさそうに頬杖をつく。