レーザービームの王子様

「……違う、私がビビってただけ。総司に自分の気持ちを伝えたら、もう今までの関係には戻れないと思ったから」



自分の目の前にあるダージリンに視線を落とし、無意識にトーンダウンした声で答える。

総司は、そんな私の様子を意外に思ったようだった。



「ずいぶん、正直に答えるんだな。なんか悪いもんでも食ったか?」

「うるさいな。……だって、中途半端なのは本音を話してくれた総司に対して誠実じゃないでしょ。だから返事をするなら早い方がいいと思って、今日、私からここに呼び出したんだから」

「……へぇ。そっか」



彼が小さく笑ったのと同時に、頼んでいたコーヒーが運ばれて来た。

店員さんにお礼を言って、総司は受け取ったカップに口をつける。



「まあ、正直わかってたよ、おまえの返事は。だてに二十何年も幼なじみやってないからな」

「………」

「すみれはこの先もずっと、俺のこときょうだいみたいにしか思うことないって。……たぶんもう、橙李兄ちゃんがいなくなって少し経った頃には、気付いてた」

「……ごめん、総司……」



総司はわかってたんだ。お兄ちゃんが亡くなってしまったことで、私が“きょうだい”という存在に無意識に固執していたこと。

代わりだなんて、思ったことはなかった。それでも総司の存在は、お兄ちゃんを失った私にとっては救いだった。

大事なひとには、変わりないのに。……私は、彼の望む“恋人”にはなれない。



「でもさあ、どうせ俺のこと振るんだったら、せめて場所を俺んちの近くにしてくれてもよくねぇ? ここまで来るの乗り換えあって遠いわ」

「だって、泣くと思ったから」

「はあ?」



私の返答に総司が訳がわからないといった表情をする。

冷めたかけたダージリンをひとくち飲んで、私は続けた。