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「ごめん総司、やっぱり私あんたとは付き合えない。ていうか幼なじみ以上に見れないごめんなさい」
指定したファミレスに総司が現れるなり、私は一息に言い終えた。
総司は私の真向かいの席に腰をおろしたばかりで、メニューさえ手にしてない状態で。
不意をつかれたように目をまるくしていたけど、一瞬の間の後はーーっと深いため息を吐いた。
「……あのさすみれ、もうちょっとこうタイミングとかあるだろ。なるべく自然な流れで話をそっちに持ってくようにさあ……」
「わかんないわそんなの。私にそういう駆け引き期待しないでくれる?」
「いや……別に期待もしてないけど……」
心底脱力したようにそう言って、総司がようやくメニューを広げる。
そんな彼の様子は、一応重要な話をしているとはいえいつもと変わらない態度に思えて。私は人知れず息をつく。
偶然久我さんとバッティングセンターで遭遇した、その週の土曜日。
私は、自分の家の近くにあるファミレスに総司を呼び出した。
理由はもちろん、彼に告白の返事をするため。……まあ、その重大ミッションは会って数秒でとりあえず完了したわけだけど。
総司は近くに通りかかった店員さんにコーヒーを注文し、改めて私に視線を寄越した。
「ひどいな。告白からたった1週間しか経ってねーのに、もう結論出したんだ」
「……結論は、私の中で最初から決まってたよ。ただ、返事をすることを先送りにしちゃってただけ」
「へぇ、俺に同情して?」
総司が口の端を歪めるようにして笑う。自分の幼なじみがこんな笑い方もすること、今まで知らなかった。
私はぐっと、ひざの上の両手を握りしめた。



