レーザービームの王子様

「すみれ──……」



ぐっと、私の腰を抱く手に力が込められたのがわかった。

久我さんの端整な顔がゆっくり降りてくる。それでも私は、動けない。



「……ん、」



重なったくちびるは思いのほかやわらかくて、そしてヤケドしそうなほど熱く感じた。

どくどくと、自分の心臓が脈打っているのがわかる。彼の手が添えられた頬どころか、全身が熱い。


は、と一度息継ぎをして、けれど再びくちびるを塞がれる。

今度は、もっと深く。



「ん、ぁ……」



突然だ。ほんとに突然、久我さんが私にキスをした。

だというのに今、『どうして』という疑問以上の感情が、私の中で渦を巻く。


──……ああ、もうダメだ。

こんなの、誤魔化しきれない。これはもう、観念するしかない。


たとえ気まぐれでもいい。遊びでもいい。

彼に求められることが、こんなにもうれしい、なんて。



「……っごめん、」



謝りながら、それでも久我さんは私のくちびるを塞ぐ。

それでいい。今はただ何も、考えられないようにして欲しい。


さっきは所在なくおろすことしかできなかった両手で、ぎゅっと彼の背中を握りしめた。

さらに深くなったキスに溺れ死んでしまわないよう、必死でしがみつく。


久我さんは何も言わない。だから、この行為の理由はわからない。

それでも、離れたくはなかった。


……私、久我さんがすきだ。

住む世界が違うプロ野球選手のことを──すきに、なってしまったんだ。