レーザービームの王子様

「なら、俺も帰ろうかな。……駅まで送る」



そのセリフにも、ただこくりと首を縦に振るだけ。

ほんとは、今すぐでも走って逃げたいくらい恥ずかしくて堪らないんだけど。

そんな衝動とはウラハラに、もっと彼と一緒にいたいという気持ちも私の中に共生しているのだ。


ふたり並んで、バッティングセンターを出る。

いくら多少の変装をしているとはいえ、身長が飛び抜けて高い久我さんはただでさえ目立つ。少し考えた末、私は細い路地を通る駅への近道を教えることにした。

大通りを抜けるよりもぐっと早く駅にたどり着けるけど、いかんせん人気が少ないから夜はあまりひとりで通りたくない。

それでも今日は久我さんが一緒だし、……むしろ久我さんが一緒だったから、その道を選んだ。



「まさかすみれ、普段からこんな人気がないとこ通ってるわけじゃないよな?」

「違います。今日は久我さんが一緒だから目立たないようにするためです」



ふぅん、と彼は鼻を鳴らすけど、あんまり信じてなさそうだ。私のことどれだけやんちゃだと思ってるんだ。

……まあバッティングセンターでうっかり野球ファンのおじさんと話し込んで長居しちゃったときなんかに、ダッシュで駆け抜けることもありましたけど。


歩いているうちにさっきよりも身体の火照りが引いた気がするから、ほっと息を吐く。

混乱が過ぎ去れば、むくむくと沸き起こるのは疑問だ。

……久我さんはどうして、さっき私にあんなことを?