レーザービームの王子様

久我さんはこちらから視線を外しつつ少しの間黙り込み、何かを考えているようだった。

私はじっと、彼の次の言葉を待つ。


そして私の心臓がそろそろ限界になりかけたところで、一際ゆっくりまばたきをする。



「……『最低』は、俺の方が上だな」



嘲笑を浮かべた、小さなつぶやき。

それでも聞き逃さなかった私は、意味が知りたくて身じろぎする。



「久我さん、今なんて」

「や、悪い。なんでもな──」



答えながらこちらに視線を戻した彼が、そこでぴたりと口を閉ざした。

私が動いたせいで、さっきよりも顔が近づいていたからだろうか。だって私も今まさに驚いてる。


長いようにもたった1秒くらいにも感じた間の後、バッと勢いよく、久我さんが私の両肩を掴んで引き離した。



「……ごめん。ちょっと俺今、どうかしてた」

「あ、はい……」



ドコドコ脈打つ心臓のあたりを片手でおさえつつ、なんとか答えた。

『あ、はい』ってなんだそれ。もっと他に言うことあるんじゃないの、私。


がしがし頭をかいていた久我さんが、あーとかうーとかよくわからない音を発した後、ちろりとこちらに視線を向けた。



「すみれは、もうバッティングやんなくていいの?」



彼の言葉に、黙ってうなずく。

私の反応を見た久我さんは、ばつが悪そうな顔で「そっか」とつぶやいた。