レーザービームの王子様

すぐにでも引っ込めたいのに、涙は次から次へと溢れてくる。

なんで。どうして、止まってくれないの。

久我さんが驚いてる。困らせたく、ないのに。



「……う……っ、」



でも、悲しかった。このひとに話を聞いてもらえないことが、とても悲しかった。

あんな……冷たい表情を向けられることが、こんなにも、辛いなんて。


そう考えてしまったら、涙はおさまるどころかさらに溢れる。

もう、ダメだ。みっともないところを久我さんにこれ以上見られたくない私は、バッグを掴んで立ち上がった。



「ご、ごめんなさい、私帰りま──」



続けようとしたセリフが途切れる。同じように立った久我さんに強く腕を引かれて、そのまま抱きしめられたからだ。

驚きのあまり、言葉を失った。すっぽり腕の中におさまってしまっているせいで、彼の顔は見えない。



「……悪かった。キツイ言い方した。ごめん」



言ってから、久我さんはぎゅうっと、さらに腕に力を込めた。

鍛えられたたくましい腕。意外と厚い胸板。

久我さんの香りを感じて、心臓が激しく鼓動を打つ。



「え、えと、久我さん……」

「すみれは悪くないよ。俺が勝手に、嫉妬しただけだ」



『嫉妬』。そのセリフに、目を見開く。


……うそ。どうして、久我さんが?



「嫌なんだ。すみれが、他の男と一緒にいるのが」



言ってから、彼は少しだけ腕の力を緩めて私を見下ろした。

唖然としている私の目元を、硬い親指でぬぐう。