レーザービームの王子様

「……もしかして、こないだ一緒にいたあの男から?」



ズバリ当てられて、思わず久我さんに顔を向けた。


……そうだ。たぶん久我さんは、あのときのことを誤解してるはずで。

久我さんは、無表情だった。だけど私と目が合って、口の端を上げる。



「かけ直せばいいのに。俺に気ぃ遣わなくても」

「……っあの、」

「ああ、もしかしてデートの約束でもしてた? 悪かったな邪魔して」



私が話そうとするのを無視し、強い口調でたたみかけてくる。

なんで。……違う、のに。



「そんなの、してないです……あの、こないだはすみませんでした。幼なじみが、失礼な態度を……」

「別にいいよ。俺の方こそ、せっかくふたりでいたところを邪魔して悪かったな」



違う。邪魔なんか、してない。

どうして久我さんは、こんなに冷たい目をしてるの。

笑ってるのに、笑ってない。……このひとに、こんな表情を向けられたくない。


このひとに、だけは。



「……ッ、」



気付いたときには遅かった。ぼろ、と両目から涙がこぼれて、スキニーデニムの太ももの上に落ちる。

久我さんは、そんな私を見て驚いた顔をした。

私だってびっくりだ。一瞬遅れてから、あわてて目元をぬぐう。



「あ、あれ、なんだろ、急に……っ」

「……すみれ、」

「ご、ごめんなさい久我さん、今止め……っ」