レーザービームの王子様

ぷいっと顔は逸らして、小さくつぶやいた。



「き、来てあげても、いいですよ……」

「素直じゃないなあ」

「余計なお世話です!」



私が噛みつくように言っても、やっぱり久我さんは笑っている。


……『また』って、ことは。もう、私と会うのは今日で最後って、思ってないってことだよね?

よかった。……よかったぁ。



「久我さん、明日試合でしょ? 夜ふかしして大丈夫なんですか」

「明日はナイターだし、こんなの夜ふかしのうちに入んねぇよ。遠征のときなんか、チームのみんなで夜散々飲んだあげく次の日デーゲームとかザラだからな」

「タフですね……」

「我ながらそう思う」



他愛ない話をしていると、いつの間にか駅前までたどり着く。

どちらともなく足を止めて、なんとなく顔を合わせた。



「俺は、こっからタクシーで帰るけど……よかったらすみれの分も、」

「要りません。電車で帰ります」



最後まで聞かず即答すると、久我さんが苦笑する。



「そう言うと思った。……それじゃあ、今度は──」


「……すみれ?」



突然、自分を呼ぶ声が割り込んで来て、私はハッとあたりを見回した。

私の左後ろの方──数メートル先に見慣れた人物が立ち止まっているのを見つけ、目をまるくする。