レーザービームの王子様

「そうか……うん、そうか」



ひとりごとを言ったかと思えば、久我さんがこちらに手を伸ばして来る。

耳の前に垂らした私の髪を、さらりと撫でた。



「ほんとに、すみれには……敵いそうもないや」



何か眩しいものでも見るような、ゆるく細められた瞳に鼓動が高鳴る。

その眼差しに堪えきれなくて、思わず視線を逸らした。



「どういう意味ですか、それは……」

「ん? そういう意味」



あっさりはぐらかして、小首をかしげる。

久我さんがこういう反応するときは、もう何を言っても無駄だ。

知り合ってからの短い期間でもそれは十分わかっているので、私はむうっとくちびるをとがらせそれ以上の追及はしない。


ちょうど、ゴンドラが地上に到着した。係員に出迎えられながら、地面に足をつける。



「観覧車、思ったより楽しかったな」

「そいつぁよかったですね」



乗り場出口に向かいながら久我さんがつぶやいた言葉に、私は若干不機嫌な調子で返す。

それでも彼は楽しそうに笑うから、……なんだかもう。



「また、来たいな」



久我さんが言う。



「来ればいいんじゃないですか?」



私はそっけなく答える。

けれども不意に大きな手に肩を掴まれて、ぴくっと身体を硬直させた。



「じゃあわかりやすく言う。……また、すみれと来たいな」

「……ッ、」



なんで……っわざわざ耳元でささやくのかな??!!

私があわてて彼の手を振り払うより先に、久我さんは屈んでいた上半身をもう起こしている。

そのにやにや笑いが憎い。憎いけど──ドキドキ、する。