レーザービームの王子様

「勝手です。勝手すぎます久我さん」

「すみれ、」

「わ、私がいつ、あなたのことを迷惑だって言ったの……っ」



話しながら、感情が高ぶって今にも泣き出しそうになる。

もうやだ、こんなの私らしくない。こんなふうに、癇癪持ちのスイーツ女子みたいなこと──……。


そのとき、自分の顔を隠すようにあてていた右手とは逆の手首を、ぐっと強く引かれた。

それをしたのは、もちろん目の前にいる久我さんで。とっさのことにうまく反応できなかった私は、引力に逆らわず彼の方につんのめる。

反射的に右足を出して踏みしめたときには、至近距離に、久我さんの整った顔があった。



「な……っ久我さ、」



かあっと頬に熱が集まる。

近すぎる距離を気にする素振りもなく、久我さんはいたって真剣な表情で口を開いた。



「それはつまり、今夜このまますみれのことをお持ち帰りしてもいいってこと?」

「そこまでは言ってません……!」



ていうかなんでそんな解釈に??!! とおののきつつ、彼から少しでも離れるため上半身を思いっきり逸らす。

「冗談だよ」と言って、久我さんがパッと掴んでいた手を放した。



「冗談抜きに冗談キツイのでやめてください」

「これは仕様だ」

「どんな仕様ですか……」



げっそりしながらツッコむと、久我さんが笑う。

その笑顔が、さっき『今までありがとう』と言ったときのものとは全然違う、無邪気なものだったから……私は驚いて、じっと彼を見つめた。