「クリス」
「ん?」
「いなくなったりしない?」
「…しないよ。
ずっとそばにいるって言ったじゃん」
「時々私、不安になるよ」
「…なんで?」
「…クリスの気持ちが、分からなくて」
チャドのようにいきなり、いなくなってしまいそうで。
「分からない?」
「…うん」
「…オレはいつも単純だよ。
好きだからそばにいる、
それだけだよ」
「そばにいて」
「ずっといるから」
固くて細い腰に腕を回して、胸にそっと耳を当てる。
一定のリズムで刻まれる鼓動が、自分のその音と重なっていくのが分かる。
手を伸ばしてさらさらとした髪の毛に指を通すと、
クリスは少し、眩しそうに目を細めた――――。
一緒に堕ちたいと思った。
二人でこのまま、どこかへ消えてしまいたいとも。
ずっと二人でいられるのなら、何でも出来そうな気がすると、心から。
終わりなんて想像出来ない。
別れの場面なんて、考えたくもない。
最後のキスが永遠に、訪れなければいい。
このまま海の底に、二人で沈んでしまいたい。
誰からも傷つけられない場所で、ずっとこの胸に抱かれて甘やかされていたい。
だきしめてとかして
ずっとずっと、はなさないで
“いとしい”
熱を奪っていくクリスの体温を感じながら、
私はその言葉の意味を、考えていた。

