さよならの見つけ方 第2章 *絶対温度*




秋、



学年が一つ上がっても私とクリスは同じクラスだった。



長かった夏休みの間に毎夜おやすみの電話を交わし、後半は何度か二人で出かけたりもしたけど、

相変わらず教室での私たちはほとんど会話を交わさなかった。







おはようと言って、



ちょこちょこくだらない話をして。










少しずつ変わってきたかも、と思うことは、







何となくクリスの表情が柔らかくなってきた気がすること。







目と目が合う回数が増えて、その度にお互い驚いてしまうこと。







その瞬間、思考回路がショートしてしまうこと。










新学期早々に席替えがあって、後ろの席に隣同士になった時は思わず顔を見合わせて笑ってしまった。










「ロンドン、また行きたいね」






「行こう。

今度はお金ためて」






「あはは、何かデートみたい」






「え」






「え?」






「…デートでしょ?」






「…デート、かな」






「デートだよ」










しれっとした横顔のままそう答えるから、ドキドキする心の隅で相変わらずだと感心してしまう。










そっか。デートだったんだ。



あれからクリスと会う度に何だかデートみたいだなって思ってたけど、



クリスもロンドンの時からきちんと、そのつもりでいてくれたんだ。










そっか、デートか。






俯いて微笑むと心臓がくすぐったくて、そのまま溶けてしまいそうなくらいに温かかった。







右隣に座るクリスの横顔をこっそり覗き込んだり、固い脇腹をつついてみたり、



そんな毎日が本当に楽しかった。