「私、チャドのこと本当に大好きだったんだ」
「うん」
「追いかけていけば良かったって、何度も思った」
「うん」
「…後悔してばっかりだよ。
あれもしたかった、これもしたかったって。
あの日笑って別れたのに、バカだよね」
バカだよね。
言ってしまってから、涙が出そうになった。
「…誰だって後悔はするよ、精一杯やったとしてもさ。
こんなに早くいなくなっちゃうなんて、考えもしなかったし」
「うん…」
「でもさ」
「うん…?」
「チャドと来れなかったロンドンが、
一回こうしてオレと来たことで、イメージ変わったろ」
「…うん」
「…カンナの未来は、そんなに大きく変わらないと思う。
あいつがいてもいなくても、ロンドンには何度だって来れるんだし」
「うん…」
「そうやって一つ一つ、塗り替えていけばいいよ」
「うん、今日、来れてよかった。
…連れてきてくれてありがとう。
一人じゃきっと、勇気が出なかった」
ありがとう、と笑いかけると、
クリスの瞳が少しだけ、優しく細められた気がした。

