さよならの見つけ方 第2章 *絶対温度*



霧深いイギリスの朝。



夕陽とまごう程、橙に装った朝日。







道端に佇むポストの赤色がいつもより余計に濃く見える。



…なんてすごい濃度の朝だろう。










少しだけよそ行きのワンピースをひるがえしながらバスケットを抱えてバス停に着くと、クリスがもう来ていた。



おそい、と言いながら、ベンチに置かれていたのであろう雑誌から顔を上げる。






「ごめん、

意外と支度に手間取っちゃって」






胸の上に手を置いて、はずむ息を抑えながらそう言うと、



「今日、何かいつもと違う」



と答えてくる。










「髪、巻いてみたんだ。

久し振りのロンドンだし」





えへへと笑いながら毛先を指でくるくる巻くと、



「ふーん」とだけ、素っ気ない返事が返ってくる。










そこはお世辞でも、嘘でも冗談でもいいから、



「似合うじゃん」とか言うべきところなんじゃないかな…