「…チャドもさ、よく言ってたんだよ。
クリスはみんなの前でも笑えばいいのにって。
クリスの笑顔はすごくいいって」
「あぁ…」
「チャドの前では笑ってたの?」
「…よく分からない。
あいつは物事を全部いい方にとらえるから、
笑ってなくても笑ってるように見えたんじゃないかな」
「あはは、そっか」
「…元気かな」
「ん?」
「あいつ、チャド」
「うん。
多分、元気だよ」
元気だよね、きっと。
私たちもこうして、笑ってられるんだもん。
元気だよ。
「眠くなったら言って。
送るから」
「うん。
今日は何か、いろいろ話したい気分」
「うん」
「…墜落睡眠かな、今日は」
「うんオレも。
昼まで寝てそう」
ジ、ジ、と切ない音を立てる電灯の、ぼんやりとした明かり。
星が見えない空が、やけにリアルに心に迫ってくる夜だった。
時折強く吹く、湿り気を含んだ風も、
隣でぽつぽつと話すクリスの、
うすくてきれいな唇のかたちも。

