階段を降りて向かう先は、リビングの隅に置かれた古い電話の前。 こんな気持ちを分かち合える人は、広い世界に一人しかいない。 今その声が聞ければ、何となくこの暗闇から抜け出せそうな気がする。 ――――だけど… まだ、寝てるよね。 今日もバイトかも。 起こしたら疲れちゃうか。 電話してって言われたけど、本当に電話したらびっくりするよね。 こんな時間だもん。 迷惑だとか、めんどくさいとか、そんなこと絶対思われたくないし… 静まり返った部屋の中に、ぽとっと小さな音が響いた。