さよならの見つけ方 第2章 *絶対温度*




クリスには、母親がいない。










私やマイケルのように始めから育児を放棄されてしまったわけでもなく、

チャドのように幼い頃に死別したわけでもなく、



ただ、途中でいなくなってしまったのだ。










小さい頃の記憶の断片に、

年の離れた兄がいたことと母親がいたことを覚えていると、いつかクリスは言っていた。





私にもうっすらと、記憶に残っている。






幼いクリスを抱く白い腕と、その隣に佇む涼しげな顔をした男の子の姿。






それがきっと、クリスの母と兄だったのだろう。







6才の頃、クリスを残して蒸発した二人の行方は分かっていない。







警察とお役人さんが何人か来て、6才のクリスはいきなり父と二人っきりになった。






一つ上のチャドを兄のように慕っていたのは、



離ればなれで会えなくなってしまった兄に、チャドを重ねていたからかもしれない。










そんなことがなくてもチャドとクリスはとても気が合っていたし、自然に仲良くなっていたとは思うけれど。