「クリスくんだっけ」
「はい?」
「この子、何か悩みがあるみたいだから、
帰りにでも聞いてあげてね」
「ちょ、先生…」
余計なことを、と思ったけれど、クリスは何も言わなかった。
ただじっと保健医の、眼鏡の奥の瞳を見つめているだけだ。
…クリスにはきっとばれてるよ。
何も言わなくても絶対。
勉強についていけないとか、友達と喧嘩したとか、
そんな辺りの悩みなら、この年にもなれば一人で解決出来る。
私が悩むことなんて、一つしかない。
眠れなくなる程の悩みなんて、
この世界で一つしか、ないんだから。
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