さよならの見つけ方 第2章 *絶対温度*


小さく、おやすみと声がして、通信の途絶える音がする。






冷たい冷たい、機械音。














――――電波がクリスの体温を、運んできてくれればいいのに。



受話器からもクリスの体温が、直接伝わればいいのに。










おかしいかな。



さっき別れたばかりなのに、もう一度抱き締めてほしいなんて思ってる。














いつもこんなに一緒にいるのに、想いはきっと無限なんだろう。










溢れて制御出来ない気持ちなんて、私は今まで知らなかった。






こんなに心穏やかな夜に、胸が焦がされて泣きたくなるような気持ちも、



分かり合えることの、切なさも寂しさも、






ずっと堪えてきたはずの痛みも――――














クリスが弱くしたんだよ。



離れてるときは、こんなに。






こんなにこんなに、私は弱虫だ。















もうすぐまたこの街に、春が巡ってくる。










静かに更けていく、サウスロンドンの夜。



細目に窓を開けると、少し肌寒い風と、

いつかチャドが教えてくれた、春の星空。










視界の中で、星が流れてくれたらいいのに…。






今叶えたい願いは、ひとつだけ。






この瞬間にもきっと私を想ってくれているだろう彼と、



いつまでも体温を、分け合えますように。














眠れない夜、



遠い星空。






同じように空を見上げているだろう世界中の人に、愛が降り注いでくれればいい――――








*fin*

--*--*--*--*--*--

第3章に続く