花音は再び雑誌に目を向けて、ページをめくっていく。



「ほら、これとか。簡単そうだし、瑞穂にも作れそうじゃない」



花音が差し出したページを見る。そこには「簡単ガトーショコラ」のレシピが書かれていた。

なるほど。これなら材料も少なそうだし、私でも作れるかな。

花音の言葉に乗せられるまま、私は放課後材料を買いに行った。

帰宅して、教わったレシピ通りに作ってみた。結果、出来上がったのは出来上がり見本よりも黒い何か。もとい、ガトーショコラだった。材料を買うことばかりに意識がいっていて、ラッピングは買い忘れた。



普段使わないようなかわいいお皿にガトーショコラを乗せて、蓮の部屋の前。

ノックしようと振り上げていた腕を下ろす。

やっぱり、こんなのあげても。

学校でたくさんチョコもらってたみたいだし。焦げたチョコなんていらないよね。
あー、どうしよう。

その場でぐるぐると回る。