「で、旭輝にフラれて。山本くんと上手くいってると」

昼休み、食べ終わったお弁当を片付けて花音が言った。

「いや、フラれてないし」

「まさか、旭輝があっさり身を引くとは。これじゃあ、山本くんと進展ないと旭輝が報われないなぁ」

何も答えない私を見て花音が驚きの声を上げる。

「嘘でしょ、何もないの。遊園地のときだってあれだけ協力してあげたのに」
がっかりと怒りの混じる声で花音は言った。

「協力って何」

「これ言ってもいいのかな。口止めされていないし、いいか」と花音は続けた。

「遊園地行ったとき、山本くんおとなしかったでしょ。あれわざとなんだよ。山本くんに相談されてさ。名付けて、押してダメなら引いてみろ作戦」

私の気を引くためにわざとおとなしかったのか。

「観覧車のジンクスも教えてあげたのに。何の役にも立ってないじゃん」

花音は不満そうな声で言う。

ジンクスって蓮知ってたんだ。知ってて私にキス。

思い出して恥ずかしくなる。