ため息をついた。ドアをノックする音が聞こえる。その後に蓮の声が続いた。


「瑞穂ちゃん。入っていい? 」


「いいよ」
私は起き上がって、ベットに座りなおす。


「帰るときから心ここにあらずって感じだったけど、大丈夫? 」


蓮はドアを開けて一歩中に入ったけれど、入り口からそれ以上は入ってこない。


それは蓮のせいだよ。


「蓮はあの観覧車のジンクス知ってたの? 」


「知ってたって言ったらどうする? 」


質問を質問で返さないでよ。無言でにらむと蓮は続けた。


「観覧車の頂上でキスした二人は結ばれる。俺たち許嫁でしょ。結ばれるのは確定事項だから。ジンクスとか関係ないでしょ。それとも、瑞穂ちゃん期待した? 」


「期待って何よ。別に」
別に、蓮が私のこと好きだとか思ってない。
思ってないけど、少しさみしいと感じてしまった。蓮の顔を見ないように視線を下に落とす。


「瑞穂ちゃん」
さっきより声が近くなってふっと顔を上げると蓮がすぐ側まで来ていた。


蓮の顔が近づいて二度目のキスをされた。
力が抜けて後ろに倒れる。蓮の腕が横にあった。


「な、んで」


顔を手で隠す。蓮の顔を見れなかった。蓮に見られたくなかった。だって、今絶対顔紅くなってる。


「瑞穂ちゃん、嫌じゃないって言ってたし」


「ばか」


観覧車のジンクスのこともはっきり答えないし、ジンクス関係ないのにキスしてくるし。
わけわかんないよ。