「ひどいなぁ、水谷さん。そんなにばっさり言わなくても。まぁ、俺にとっては瑞穂ちゃんが好きって言ってくれたらそれでいいんだけど」

まさか私にも攻撃が来るとは思わなかった。
よし、ここは無視だ。いい加減蓮の言葉に惑わされないようにしないと。

「じゃあ、花音と一緒に遊びに行くということでいいよね」

「瑞穂ちゃん、スルー」と、蓮の声が聞こえたがこれも無視だ。

「え、なに。三人で遊びに行く予定だったの。旭輝と山本くんなんて意外なメン
バー」と驚いている花音。

「違う、違う」
慌てて否定したのは鎌田くんだ。

「違うの」と、花音は面白くないという顔をした。

「俺が藤野さんをデートに誘ったら、こいつがついてくるって言うから。花音を
誘おうと思って」

鎌田くんは蓮を指さして言った。

「俺はついていくなんて言ってないけど。瑞穂ちゃんの頼みに応じただけだから」

蓮の言葉に花音は鎌田くんを見て「そうなの」と問いかけた。

「信じて、水谷さん」と蓮の思いもむなしく「ごめんね、山本くん。旭輝が言ってること信じるわ」と花音が言った。

二人の幼馴染の信頼関係に蓮はあっけなく負けたのだった。
朝のときもそうだったけど、花音は鎌田くんのことを第一に信じているようだ。

しかし、鎌田くんと花音の二人を見ていると幼馴染というものが余計にわからない。

一般的な幼馴染というのは二人のようなものなのだろうか。私の周りに参考にできる幼馴染がいないから比べようがない。とりあえず、どんまい、蓮。