じめじめとした梅雨も終わりを告げ、暑さが本気を出してきた7月上旬。
我が学園では、1年の中で一番初めに行われる大きな行事が近づいていた。
「今年は室内はバレーとバスケと卓球、屋外はサッカーとテニスに決まりました!それぞれ出場したい球技を決めてください!最終決定は来週のこの時間にします!」
それは球技大会。
1年の時の忘れられない思い出。
まさか、私がバレーに出場するだけで、アイドルのコンサート並の盛り上がりを見せた。
決勝戦をほかのクラスも見ていた、とかならまだ話はわかる。
でも、去年は1回戦敗退だったのにその1回戦目であの盛り上がりようだった。
うちの学園は多分どこかおかしいんだも思う。
「モテモテな香澄ちゃんは、今年何出るの~??」
ニヤニヤしながら、LHRが終わると話しかけてきた美華。
まったく、こういうことになるとすぐニヤニヤして人のことバカにするんだから。
「んー、またバレーでいいかな?」
あれだけ注目されるのは嫌だけど、クラスのみんなからはとても頼りにされて。
『香澄ちゃん強いね!』って、嬉しそうに話しかけてくれたクラスメートのその言葉が嬉しくて。
もし、またなんかの力になれるなら、て考える。
出場するからには、注目されるだけじゃなくて実力も発揮したいから。
「美華はテニス?」
「ふふふーん、まあねー!」
美華はテニスが得意だ。
中学生の頃も、普通に県大会も上位に入るほど。
だけど本人はあまりやりたい子ではなくて、高校に入学してもテニス部に入部はしなかった。
彼女の実力を知ってるテニス部の顧問は何回も入部のお誘いの声をかけてくるらしいけど。