「送っていくよ。」
ローファーに履き替え、校門を出ようとしたとき。
隣でそう声をかけてくれた梓。
「音楽聞きながら帰るから平気。」
「あのなあ、こんな夕方で日も落ちかけてるのに女子ひとりで帰らせる奴がどこにいんだよ。」
「いいから!言うこと聞きなさい!!」
これ以上一緒にいたら、ダメな気がして。
何もかも、考え方がわからなくなる気がして。
今は、ひとりになりたい。
頭の整理をしたい。
「ったく。わかった。そのかわり気をつけて帰ること。なんかあったら連絡すること。約束しろよ。」
「はいはーい。」
あんたは私の保護者かよ!
そんな心配される覚えはないんだけど。
これもまあ、女の子たちとうまくやっていくために習得した技なんでしょうね。
「じゃ。」
「うん、また。」
校門で背を向け、正反対に歩き出す。
片耳にイヤホンをさし、通学路を歩く。
なるべく、あいつのことを思わないように。考えないように。
歌に集中して。

