【完】恋なんてするものか!





梓本人はそれを計算でやってるのか、素でやってるのかわからないけど。




私も梓同様、カバンから勉強道具を出す。




筆箱からシャーペンを出し、テキストに向かった。




さっきまでの空気とは変わって、とても穏やかな時間が流れる。




図書室内に響くのは、時計の秒針の音。




それから、ノートをめくる音と、シャーペンで文字を書く音。




「なあ、香澄。」




「んー?」




「これ、どう解くの?」




目の前からテキストを差し出し、問題を指さす梓。




「あー、これはここを....」




なんだ。




普通に会話も勉強もできるんじゃん。




24時間休むことなく、女子を落とすようなことしか言えないのかと思ってたわ。




「で、結果こうなる。わかった?」




「すげー!教えんの、うますぎ!」




と、ニコッと笑った。



なぜか.....




なぜかわからないけど。




その笑顔が、とても好きだと思った。




何も考えずに、自然とこぼれたようなその笑顔が。



そんな風に笑えるんだ、って。




普段ではあまり見ない顔だったから、胸が少し.....




高鳴ったのは、気のせいということにしよう。






「逆に、ここわかる?」




お互い教えあいながら、勉強を進める。



梓の教え方も、すごく上手で。




下手したら、教科担任よりも上手なんじゃないか?って疑うほど。