こんな近い距離じゃ、嫌いなはずなのにドキドキしてる胸の音があいつにばれてしまう。
そしたらどうせ、それをネタに私のペースを乱してくるだろう。
「いい匂い、する。癖になりそう....」
「へ、ヘンタイ....」
「ヘンタイ上等。」
そんなあいつの香りも微かにする。
ムカつくけど、柔軟剤のいい香り。
「今は後ろから抱きしめてるけど、正面から抱きしめたらどうなるかな?初な香澄ちゃん?」
「そんなことしたら、ぶっ飛ばしてやる。」
「ふーん。こんなに顔真っ赤にさせて?」
と、後ろから私の顔を覗き込む梓。
ち、近いんだってば。
「べ、勉強の邪魔!」
「俺が教えてやるよ。」
「こ、断る!!」
「何を教えてほしいの?」
と、私の顎を持ちクイッと顔を持ち上げた。
ニヤリと不気味な笑みを浮かべ。
そんなあいつの顔を見て、ゴクリと生唾を飲む。
そんな顔が変に様になってて。
「なんでも教えてやるよ?キスの仕方、とかな。」
「す、数学関係ないじゃん!」
「誰も数学の勉強を教えてやるなんて、言ってねーよ。」
「....っ」
「初な香澄に、恋の勉強を教えてやるって言ってんの。」
と、私の目を見つめる梓。
このまま、真っ直ぐな梓の眼差しに吸い込まれてしまいそうだ。
目を離したいのに、視線を奪われて目を逸らせない。

