「あえて無視してるんだから、いい加減声かけてくるのやめなさいよ!!」
「ん?ヤダ。」
「....」
あ、そうですか。
即答なんですね。
「はあ.....」
「んな、ため息なんてついてー。」
誰のせいだっての。
ぜーんぶ、あんたのせいよ!!
あんたの相手してくれる女なんて腐るほどいるでしょ。
その子たちの相手でもしてなさいよ。
「てかなんで、俺のこと無視してるの?」
「あんたのことが嫌いだからに決まってるでしょ!!」
今更、そんな質問かよ。
私の態度見て、誰だってわかるでしょ!!
はっきり「嫌い」って言ってやったし、少しくらい引いてくれると思ったけど。
「でも俺は、香澄のこと普通に好き。」
なんて耳元で囁くから。
「....っ」
言葉が出てこなくなるどころか、顔も赤くなっただろう。
「あれ、照れた?」
「うっさい!早く目の前から消えろ!」
「ふっ。照れ屋さん。」
と、満足そうに笑うと教室から出て行った。
......胸がうるさい。
耳元で響いたあいつの声も。
最後に笑ったあの満足げな顔も。
なぜか頭の中でリピートされて胸がどきどき音をたてる。