そんなことありえない。
だめよ!だめ!
こんなやつに惑わされたらダメ!
「おい!」
後ろからそんな声が聞こえた。
確実にやつの声だったから、私は無視して歩き続けた。
「何無視してんだよ!」
「きゃっ!」
するといきなり、後ろから抱きつかれた。
「な、なななな、なにしてんの!」
思い切り梓を突き飛ばした。
こ、こいつは、いきなり何をしてきたの!
道のど真ん中で抱きつくなんて、非常識にも程があるっての!
「呼んでんのに、無視するお前が悪い。」
「だって、用事ないのにあんたと話す必要なんてないから!」
「お前さ、これ、いらねぇの?」
と、目の前に出された私のカバン。
「あ......」
「ったく....ほらよ。」
「ご、ごめん......」
まさか、カバンを忘れてたなんて思ってなかった。
意地になってた。
ゆっくりカバンを受け取る。
「強がりなとこも、可愛いな。」
ははっ、と軽く笑われた。
「うるさい。早く女のところ戻ってあげな。」
「へいへい。」
私は梓に背中を向けて、家に向かって歩き出した。
一気に色々ありすぎ。
私、今年厄年だっけ?
そのくらい災難続いてない?

