本当は、こいつの言うことなんて聞きたくなかったけど、選択肢がキスならもう仕方ない。
こんなやつにファーストキス奪われるくらいなら、名前で呼ぶ方が100%マシ。
「でも、香澄のファーストキス奪うの、俺だから。」
「誰があんたなんかに奪わせるもんですか!」
意地でもあんたみたいなやつにファーストキスなんてあげない。
もっと優しくて、紳士的で、好きな人にファーストキスはあげるんだから!
なーんて、THE女子!みたいな発言してる自分が気持ち悪いけど、だけどこんなやつにファーストキス奪われるとか最悪なことはない!
キッと睨みつけるけど、余裕のある表情で、
「キスなんて、簡単に奪えるんだよ?」
なんて、悪魔みたいに囁くこいつはさすがチャラ男だ。
どうせ気持ちなんてなくたって挨拶程度でホイホイ、キスだってできるんだろうしね。
「あんたの思い通りになんてさせないから。」
「余裕なこと言ってられるのも、今のうちだけだと思うけどね?」
「........帰る。」
私は特に返事することなく、立ち上がった。
一瞬たりとも黒河........あ、梓の目を見ずに。
「.......助けてくれて、ありがと......」
本当は、怖いのかな.........
口では強気なこと言ってるし、こんな最低最悪男!て思ってるけど。
もしかしたら内心、この先何か自分が望んでないことが..........って。
まさか、まさか......ね。

