黒河が謝ることは、何もない。
わざわざ探しにきて、助けてくれた。
「一緒に遊ぶ予定だった女の子は、いいの?」
「なんか、香澄が困ってるかもしれないって思ったら、そいつのことなんかどうでもよくなった。」
「そ、っか.......」
なんか、複雑な心境だ。
ずっと、大嫌いで。
こんなやつと一生関わりたくないって、本気で思ってて。
なのに、今こうやって助けてくれて。
一緒にいた子より私を優先してくれて。
だけどそれは、私じゃなくても同じことで。
ほかの女の子でも、同じことするんだろうな、て思ったら、何となくもやもやして。
「お前も案外、可愛いところあるんだな。」
「何がよ。」
「こうやって、男に抱かれて涙流すところとか。」
「あ、あんたが勝手に抱きしめてきたんでしょ!」
べ、別に私は泣きたいなんて言ってないし?
黒河があんなことして、あんなこと言わなきゃ、涙だって我慢できたし?
なのにあんたが私の涙腺を緩めるようなこと言うから。
だ、だから、その優しさを無駄にしないように泣いただけよ!
「べ、別に、泣きたくなんてなかったから!」
抱きしめてくれていた体を引き剥がした。
もーう、調子狂う!
考えはまとまらないし、胸はうるさいし、こいつの胸で、泣いてしまったし........
人前で泣くなんて、滅多にないし、男子の前泣いたことなんてもっとないのに!

