いよいよもうダメだ.......
そう、諦めかけた時だった。
「おい。」
そう、声が聞こえたのは。
声の方を振り返る4人。
顔を見なくても、誰の声がわかる。
「お前ら、俺の女になに手出してんの?」
「....くっ....黒河梓..........」
無表情でそこに立つ、黒河。
怒りのオーラが全身から放たれている。
く、黒河..........
「俺の女に手だすなんて、度胸してるね。」
ジリジリと4人に近づく黒河。
「俺の女、とか言ってるけどさ、どーせ遊びなんだろ?」
「それなのに、お前にそんなこと言われる筋合いないんだけど。」
黒河の登場に一瞬怯んだ4人だけど、勝ち誇ったように言った。
「誰が遊びだって言った?」
「は?」
「誰が香澄とのこと、遊びだって言ったんだよ。」
まったくもって引き下がらない黒河。
そんな黒河に4人も困惑し始めた。
「お前が本気でひとりの女と付き合うわけないだろ。」
「ふーん.......俺が本気で、ねえ.......」
と、意味深に言う黒河。
すると、「どけ。」と、私の前に立っていた3人をどかすと、私の腕を持っていた男に近寄った。
そして、
「とりあえずさ、その汚い手を離せよ。」
と、私の手を拘束していた男子生徒の手をどけた。
解放された手は、力が抜けたように下にたれ下がった。

