【完】恋なんてするものか!







「家、どっちなの?」




送ってくれてるのはいいんだけど。





もし、美華とかと同じ方向だったらわざわざ正反対に歩かせてるってことでしょ?






「なに、俺の家に興味あんの?」





「んなわけ、あるか!」





いちいち突っ込むのが面倒。





「俺のことは気にすんな。俺が勝手に送るって言っただけだし。」





「.......あ、はい.......」






たまに出る、この優しさはなんなの?






いきなり優しい声かけられても、どう返したらいいかわからない。





最低なやつで、救いようのないバカで。





そんな印象が崩れてしまいそうになる。





...........ごくごく、まれにだけど。







適当に会話をしながら歩いていると家に着いた。






「ここ。」





「おっけ!覚えたから今度遊び行くわ。」





「覚えんな、来んな、バカ。」






結局家まで送ってもらっちゃったなあ.......





黒河ごときに罪悪感なんて持ちたくないけど、申し訳ない。






「あ........り、がと..........」




「ふっ......また明日な。」





満足そうに笑うと、黒河はきた道を戻っていった。






.........正反対かよ。家。





ちょっぴり、だけど。





今までよりは、印象が変わった...........気がする。






気のせいかもしれないけど。





私は黒河の背中を見送ってから、自分の家に入った。