蒼介くんは春から一人暮らしをはじめる。
私たちが通っていた高校がある町からは少し離れてしまうから、本当に今までみたいにすぐ会えなくなってしまう。
「珍しいな、美華がこんな思い切り泣くなんて。」
「よしよし」と、私の頭を撫でながら抱きしめてくれる。
自分でも、びっくりしてる。
こんなに泣くなんて。
「やっ、やだよぉー.....寂しいよぉー....」
子供みたいに泣きじゃくって、恥ずかしいけど。
流れ出した涙は止まらなくて。
『寂しい』と、口にしてしまえばもう、寂しさが胸に一気に押し寄せて。
蒼介くんの腕の中で、声を上げて泣いてしまった。
「そうだよな....俺も、寂しいよ....」
私より背の高い蒼介くんの声が頭の上から聞こえてくる。
どんなに泣いても、現実は変わらないのに。
寂しいのは私だけじゃない。

