【完】恋なんてするものか!






「ほんと、ごめん。」




矢島くんに説教されたからなのか、シュンとして本気で謝ってきた、黒河。





イライラしてたし、はあ?って思ってた。





だから、謝られるのは普通なんだろうけど。






いつもの調子じゃない黒河が、不自然すぎて。





逆にいつもみたいにバカにしてくれて方が楽なのに、なんて思った。






「ったく、自分でまいた種なんだし、自分でどうにかしろよな。」





「勝手に喧嘩し始めたんだよ!」





「結局のところどっちと先に約束したんだよ。」





「しらねーよ、んなもん。くる誘い全部引き受けてんだから。」






........うん。





結局救いようのない馬鹿です。








いつも私のことをバカにして、自分の思うようにすごしている黒河が、矢島くんみたいに誰かからなんか言われている姿が新鮮。






「まあ、確かに女の子は可愛いけど。」






............矢島くんは真面目で正統派かと思ってたけど、そうでもないみたい。






黒河より全然マシだけど。





「とりあえず、一件落着したんなら帰るね。」






どうやら、私の家とは正反対に歩いてきたらしい。






「家、どっち?」





黒河がそんなことを聞いてきた。





家の方を指さすと、





「送ってくわ。」




と、言われた。





「え!いいよ!!」





黒河の家がどっち方向かは知らないけど、送ってもらうなんて申し訳ない。





それに、ここから家までふたりきりなんて考えられない!!