さっきまでの宮本はどこにいったのか。
ドスの効いた様な低い声でそういう。
「でも、私諦めないからね。絶対、あの子なんかに負けないから。」
と、俺のことをキッと睨みそのまま立ち去って言った。
宮本がこのとき、何を考えて何を企んでいたかなんて、俺には想像もつかなかった。
そして、事件が起きたのは文化祭の数日前のこと。
放課後、教室に残って文化祭の準備を進めていとき。
「あ、ず、さ、くーん!!」
耳に残る高い声。
俺を呼ぶのが宮本だとすぐにわかった。
声の方向をむくと、嬉しそうに俺の方に向かってくる宮本。
瞬間的にその笑みが、何かを企んでいる笑だとわかった。
何か、嫌な予感がする。
そしてその予感は的中した。
「これ、私と一緒に出てね!」
「はあ?やだよ!」
宮本が手に持っていたのは文化祭で行われるベストカップルコンテストのチラシだった。
なんで俺が宮本とそんなものに出なきゃいけないんだよ。
付き合ってるのは香澄なのに。
しかし、簡単に断れるほど宮本の性格がいいわけがなく。
「前、風の噂で聞いたこと、本当だったんだね。」
ニヤリと笑いながら、俺の耳元で囁く。