「梓くん、最近冷たくなったって噂だよー?」
いくら女の武器を使われようが、俺にはちっとも響かない。
「今まではちょっと遊びすぎたなって思ったし。大切な人ができたから。」
そう、素直に口にする。
変に期待させても面倒だし。
俺の知らないところでいろんな噂が回ってるもんだな。
「今までの梓くんでいいのにー!!私も、ほかの女の子たちみたいに、遊んでほしいな?」
なんて、俺の腕を掴んで上目遣いで訴えてくる。
ほかの男子がそんなことされたらきっとコロッと行くだろう。
前の俺でもきっと、このまま宮本の誘いに乗っていたと思う。
だけど今はもう違う。
「本当、マジでそういうのいらないから。遊びたいなら他当たって。悪い。」
そういって、宮本の腕をはらいのける。
優しく言ってダメなら、多少強引に引き離さないとどんどんつけ上がるから。
過去を振り返れば、それくらい簡単にわかる。
「ねえ。そんなにあの子がいいわけ?」
「だからそう言ってるだろ。」
「ふっ。あんな女の子らしくない女がねぇ....」