*梓side*
こんなにも、過去の自分の行いを恨めしく思ったことはない。
後悔したところで、どうすることも出来ないんだけど。
「本当、カッコイイよね、梓くん。」
「そりゃ、どーも。」
そう、べったりと隣を陣取りながら口を開いたのは同じクラスの宮本。
3年になって、初めて同じクラスになった。
友達からちょくちょく名前は出ていた。
美人でスタイルも良くて。
告白する人もよくいるらしい。
俺にはそんなこと関係ないけど。
同じクラスになってから、ちょいちょい近くにくるなとは思っていた。
だけど、図書室で告白されてからそれはどんどんエスカレートしていった。
休み時間の度に俺の机に来ては話をして。
何が目的なのか......まあ、俺の事を振り向かせたいんだろうけど。
毎回俺の事を持ち上げる。
褒めてくれるのはいいんだけどさ。
残念ながら、宮本のことはこれっぽっちも眼中にないわけで。
俺はもう、香澄一筋。
それ以外の女子に魅力なんて感じない。