私はその場から走り出した。
あんな空間、いられるわけない。
幸せそうに、梓の隣に立っていた宮川さんの顔が忘れられない。
なんで私がこんな思いしなきゃいけないのよ.....っ。
今、ステージの上で、どんな会話が繰り広げられてるんだろう。
気になる。けど、聞きたくない。
梓に限って、もうすでに宮川さんと付き合ってるなんてことないって思いたい。
思いたいのに......
今は、自分の気持ちをコントロールできない。
泣きそうなのをどうにか堪えながら、トボトボと廊下を歩く。
.......ちゃんと、話し合わなきゃ。
梓の気持ち、聞かなきゃ。
なんて言われるか、分からないけど。
でも今のままじゃダメだよね....
「香澄っ!!!」
不意に後ろから私を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと、そこには息を切らした美華の姿が。
「美華......」
「ちょっと!体育館、凄いことになったよ!」
と、興奮気味の美華。
「え、ど、どういうこと?」
「これみて!!!」
と、私にスマホを差し出した。
そこには体育館での光景が録画された映像。
そして、その内容に。
「え.......」
私は固まった。

