【完】恋なんてするものか!





梓は悪くない。



弱くて、余裕のない、私が悪いの。




もっと強くなりたい...



「俺は、香澄がいいの。香澄じゃなきゃ嫌なの。確かに、さっきみたいなことも起こると思う。だけど、告白された子に心変わりすることはないから。」





頭を撫でながら、私の目をしっかり見つめ、梓はそう言った。




梓の言葉を聞く度、心の中にあったモヤモヤがスーッとなくなっていった。





魔法みたいだ。梓の言葉は。




私が欲しい言葉をいつもくれて。




それを聞く度に安心する。




「それに、不安なのは香澄だけじゃない。」




「え...?」




「俺だって、内心ヒヤヒヤしてんだよ。これでも。」




そっぽ向いて。



ちょっと拗ねるように。




だけど、どこか悔しそうに。




「香澄が他の男に取られるんじゃないかって。特にあの後輩、とか....」




ボソボソと梓のは言った。



あの後輩、とはきっと葵くんのこと。




葵くんとは何もないけど。だけど葵くんの気持ちは私も梓も知ってて。




まさか、梓が不安に思ってたなんて。





いつだって、余裕な感じだったから。




こんなに余裕ないのは、私だけだと思ってた....




「いつも、余裕たっぷりなくせに..あ、葵くんの前だって...」





「弱気なところなんて見せるわけないだろ。そんなカッコ悪いとこ、大事な彼女の前でできるわけない。」