ま、まあ、このくらいの頼みならいいか。
「分かりました....」
「ホントか!助かるよ!」
「成績ちょっと上乗せしといてやるからな。」と、ボソッと囁くと私の肩をポンと叩き教室から出ていった。
本当に成績上げてくれるかなんて不明だけど。
私は積まれた資料を両手で持ち上げた。
「お、重.....」
見た目の割に重いな.....
資料を持ちながらゆっくり歩き始める。
教室を出て少しした時だった。
「あれ?香澄先輩?」
そう、声が聞こえてきたのは。
目の前には滝川くんの姿が。
滝川くんとはあの日から、廊下や学校ですれ違うと挨拶してくれたり、声を掛けてくれるようになった。
「あ、滝川くん。こんにちは。」
「それ、どうしたんですか?」
「資料室にって頼まれちゃって。」
「こんな重いの女の人ひとりじゃ大変ですよ!半分持ちます!」
と、手を伸ばした滝川くん。
「え、いいよ!私が頼まれたんだし、せっかくのお昼休み!」
「ダメです!怪我でもしたらどうするんですか?こういう時は男に甘えていいんです!」
そう言うと、ひょいと半分と少しの資料を持ってくれた。
なんか申し訳ない気もするけど、重たかったのは事実だし。
何を言っても聞いてくれなさそうだから。
お言葉に甘えようかな.....
「資料室って、この階の突き当たりの教室であってます?」
「うん!」
「了解です!」
滝川くんは資料を持ち私の前を歩き始めた。
同じ階ということもあり、すぐに資料室につく。

