梓はたまたま私を好きになってくれたけど。
今までずっと、男友達しかいなかった私。
男の子と本気で遊んで本気でケンカしてきた。
いつだって言われるのは、
「女の中で一番仲いい友達」
それ以上になることなんてなかったんだから。
それなのに。
「はーあ。これだから鈍感は困るわ!」
なんて、ため息つきながら呆れる梓。
ため息つくほど!?
そんなに呆れられる!?
「まあ、確かに香澄は鈍感なとこあるよねー!」
と、美華まで梓に賛同する始末。
ちょっと!ふたりとも!?
美華まで梓の味方するの?
「ほらな?親友の大澤が言ってるんだから、本当なんだよ!」
「鈍感じゃないし!!自覚も何も可愛さもそういう性格も持ち合わせてません!」
「その口塞いでやろうか?」
「なんで!」
「俺に口答えするから。あのな、実際こうやって告白だってされてんだから。むやみに無防備な姿、俺以外の男に見せんじゃねーよ。」
「み、見せてないから!」
なによ!無防備な姿って!
どんな姿!!
「いいから。分かったか!?」
「あーもう!はいはい。」
いろいろ言い訳したかったけど、私の勝ち目はなさそうだったからやめた。
たまには身を引くことも大事だ。
「あーあ。ふたりともお熱いこと!これならお互い取られる心配もないし安心かもね!」
なんて、美華がニコニコしながら言ってたけど。
これから待ち受ける出来ごとを私たちはまだ知る由もなかったのだ。

