「別に?君が香澄に何を言おうと。たとえそれが告白だろうと。香澄は絶対に渡さないし、心移りするようなこと、俺が絶対させない。」
私と滝川くんの話を聞いていたのか、そんなことを言い出した梓。
勝ち誇ったような顔をする梓。
滝川くんも負けじと、
「先輩はそう思っていても、香澄先輩の気持ちは香澄先輩しかコントロールできませんから。」
と、反論。
お互い強気なふたりだ。
さ、さすがにそろそろやめにしない?
滝川くんも、私の気持ちはちゃんと伝えたしさ。
私は何があっても、梓が好きだよ。
色々遠回りして、やっと少し素直になって。
やっと届いたお互いの気持ち。
そう簡単に、変わるわけない。
滝川くんの気持ちは嬉しいけど。
「君の入る隙間なんて、これっぽっちもないから。別に香澄のこと好きだろうとなんでもいいけど、俺らの仲を壊すようなことと、香澄のことを悩ませるようなことしたときは、ただじゃおかないから。」
と、ドスの効いた声を出す梓。
滝川くんをキッと睨みつけてる。
「それは安心してください。でも、俺も本気なんで。なめてもらったら困ります。」
「ふっ、随分と強気だね。あとで惨めな気持ちになっても俺は知らないから。」
「そんなの覚悟のうえですよ。生半可な気持ちじゃない。それだけは分かっておいてくださいね。」
そう、滝川くんは言うと、「呼び止めちゃってすみませんでした。また。」と、人混みに消えていった。
進級早々、こんなことって......
これから先大丈夫なのー?

