なんて礼儀のいい子なんだろう、と感心しつつも、2人の険悪なムードに気まずさを感じる。
不機嫌そうな梓と、礼儀正しく自己紹介しつつも、どこか挑発的な滝川くん。
今にもふたりして喧嘩でも始めてしまうんじゃないかと思うほどに。
「俺、3年の黒河梓。香澄の彼氏。」
滝川くんにつられ、梓も自己紹介をする。
「先ほど、香澄先輩から話聞かせてもらってました。」
「で、なんの用なの?さっきから長々と話して。香澄も少し困ってそうに見えたんだけど?」
ちょ、ちょっとふたりとも.....落ち着いて?
口調は丁寧だし、落ち着いてるように見えるけど。
彼らの目を見れば分かる。
お互いがお互いをよく思ってないって。
ふたりして挑発したような口調。
「いや、困らせようとしたわけじゃないんですけど。中学の時からの先輩で、ずっと探してたのでやっと会えた、て話してたんですよ。」
「ふーん。それだけ?」
あ、梓......怖いよ。
真顔の梓はなかなか見ないから。
そんな梓に負けじと滝川くんも険しい顔。
「気になります?」
ちょ、滝川くんもそんな挑発するようなこと言わないで。
一触即発とは、まさにこのことを言うんだろうな。
ピリピリとした空気。
仲裁に入りたいのに、私の入る隙なんてない。

